2014年12月8日月曜日

旭山動物園の使命

【1.レクリエーションの場】
 
 動物園では、人はみな笑顔で動物たちと過ごしています。
 それはなぜでしょう。
 オーストリアの動物行動学者 コンラート・ローレンツは
 次のように言っています。
 「動物を飼育したいという欲望は、太古から人間の心に潜む
 気持ちである。文化を持つようになった人間が、自然という
  失った楽園に対して抱く憧れなのである」と。
  まさにレクリエーションとはリ・クリエーション(Recreation) 
 人間性を再創造(回復)するという意味なのです。
 動物たちと一緒の楽しい時間を過ごし、美しい動物たちの
 すばらしい能力に感動し、自らの「生」を実感できる場所、
 それが動物園です。

【2.教育の場所】

 動物園では、貴重な野生動物を飼育展示していますが、
 その動物の「生命」そのものを通して、自然環境の
 多様性を実感できます。
 また、動物園ガイドや動物教室、野外観察会、出張授業
 などを通して、野生動物たちが置かれた現状を知り、
 私たちの暮らしと彼等との関わりを学ぶことができます。

【3.自然保護の場】

 動物園は、絶滅が心配されている動物たちを計画的に
 繁殖させることによって、動物種を保存することができます。
 また、絶滅してしまった地域に、動物園で増やした動物を
 放して、再び野生の状態を回復させることもできます。

【4.調査・研究の場】

 動物園には、比較解剖学、生理学、栄養学、繁殖学上の
 様々なデータが集まります。大学などの研究機関と共に、
 これらを集大成し、野生動物医学へと発展させています。
 また、遺伝学的研究や小個体群管理学が、絶滅を心配
 される個体群の維持に役立っており、動物園の研究と
 フィールドの研究が一体となって野生動物の保護へ
 実効を上げています。
 なお最近では、人獣共通感染症の研究も進めており、
 人と動物との共生への実現にも貢献しています。

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